冒険王ビイトの世界観を用いた二次創作作品。
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「……。」
灰燼が空気の中を舞う中、一人の女の子供が無言のまま大穴の中心で佇んでいた。近くには人の形をした…人ではあり得ない黒い物体が転がっていた。 「…わわ、なんか凄い事になってるなぁ…。」 「?」 只その場で立っていた子供は突如後ろから現れた別の少女に向き直った。 「わっ!ゴメンゴメン。驚かせちゃった?」 「……。」 自分が振り返った事に驚いたのか、自分よりは数歳年上に見える少女は数歩後じさりしながら両手を振った。彼女もまた武器を帯びていて普通でない雰囲気を纏っていた。 「えっと…私ルミナ。キミは?」 無言でいる自分に何処か気まずい物を感じたのか、彼女…ルミナは自分の名を名乗り、こちらにも尋ねてきた。 「……エミル。」 「そっか、良い名前だね。」 「……。」 名前を褒められた事…否、この少女との駆け引き自体実際どうでも良い。エミルは答えた後は只黙り込んだ。 「でもさ…これってキミがやったの?」 ルミナは辺りを見回して所々指差しながらまた話し掛けてきた。 「……凄いよね。さっきは物凄い雷がこっちにも降って来たし、大きい氷の塊も遠くから見えたんだ。それでここに来てみれば…竜巻と焼けた後だもんな…。」 「!」 彼女の言動にエミルは少し目を見開いた。 「ねぇねぇ、もし良かったらキミの天撃…どんなモノか見せてくれない?」 「……どうして?」 頼んでくるルミナ…大体その欲する所は予測できたが、エミルは只そう返した。 「私、天撃全然ダメなんだよねぇ…。これまでも色々やって来たんだけど…どうも上手くいかなくてさぁ…。」 「…見て覚えるつもり?」 「そ。でも、どっちかと言うと只キミの天撃の凄さを見たいだけかなぁ…。」 呆れた様な蛇足を話すルミナをエミルはその双眸でじっと見つめた。 「…人に天撃を褒められたのは初めて。でも、悪いけど街まで天力は温存したい。」 「う~ん…そっかぁ…。残念だなぁ。」 エミルは只無言で俯きながらも苦笑いしているルミナを見た。…そして、分かりきった事を尋ねた。 「あなたもバスター?」 分かりきった事…それは自分と同業の者である事…。異形の魔物に溢れたこの暗黒の世の中でこの場を歩む者は数少ない。 「うん。…でもレベルはまだ1なんだけどねぇ…。」 「1?」 エミルは表情こそ変えずとも、暫くルミナの顔を見て立ち尽くした。 PR
「ああ、もう!またコダマンボ見逃しちゃったよぉっ
!!」 何匹もの巨大な虫の骸の真ん中でルミナは不機嫌に言い放ちながら地団駄を踏んだ。 「あ~あ。ジャガームなんかが出てこなきゃこんな事にはならなかったのになぁ…。」 彼女はうなだれながら剣に付いている体液を拭き取って鞘に収めた。 「この辺の魔物はもう大体倒せるようになったのに…どうしてあいつだけ捕まえられないんだろ?」 子供相応の仕草でルミナはうーん…と考え込んだ…が、結論は出なかった。 「ま、いっか。今日はもう帰ろうっと。」 軽く体を伸ばしてから、ルミナはその場を立ち去ろうとした。 ピシャーン!! 「…!」 「真空波」 背中に大きな槍を背負った小柄な薄緑の髪の子供が掌を獣の群れに翳した。 「……。」 直後…暫しの沈黙が辺りを覆った。 ドドドゥッ! 長い間を置いて、一気に何かが崩れ落ちる音がした。 「大火球」 彼女は片手を天に翳してそれを一気に地面へと叩きつけた。 シュゴオオオオオオオッ!! 掌に出現した火球が弾けて子供を中心とした炎の奔流を巻き起こした。
「…ん~…。」
緑色の髪を持つ少女は草原の上で目を覚ました。簡素な白いワンピースに身を包んで 「…あ、いけない。いつの間にか寝ちゃってたんだ…。…えっと、今何時だろ…。」 すぐさま起き上がり辺りを見回すと、遠くに時計塔があるのが見える…。 ―3時か。……最後に時計見たのって…12時だったよね。 「……そろそろ行かないと。」 彼女は体に付いた草の欠片を払いながらその場から去って行った。 『里を出るのかね。』 大空を遮らんとばかりに聳え立つ外壁にある門が彼女に声をかけてきた。今は緑色のパーカーに身を包み、腰には少女には似合わぬであろう長剣と小銃が下げられた剣帯を身に付けている…何とも物騒な出で立ちをしていた。それでもその少女相応のあどけない顔は変わらず、不思議な雰囲気を纏っている…。 「うん。依頼こなさなきゃならないから。」 『そうか。ではルミナよ、健闘を祈るぞ。』 軽く言葉のやり取りをした後、門が地面を擦る音を出しながら徐々に開いていった。 ―行こう。 少女ルミナは開いた門をくぐり、外へ広がる道へと飛び出していった。 |
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